水田(稲作)

ここではカンボジアにおける水田(稲作)に付き、営農のポイントをまとめます。

今の状況に外国人がどう関わり経営として成り立たせていくのか、検討の一助となればと思います。


カンボジアの稲作

米はカンボジア農業の主要作物であり、主力輸出品目でもあります。
品種が多く、作り方も様々です。

手作業がまだまだ主流ですが、徐々に機械化も進んでいます。

栽培技術

日本と違い直播が主流で、ほとんどが手作業で播種しています。

最近は機械による方法も見受けられますが、近隣諸国では利用が確立した播種機はまだまだ開発途上です。

種子代、除草対策の観点などから播種技術の開発が急がれます。

面積が小さく、雨だけに頼るような圃場では、反収を上げるため苗代で作った苗で田植えを行うこともあります。
水管理は代掻き技術を向上する上で期待されますが、費用対効果の観点から現在ではおろそかになっています。

田んぼを見ると代掻きが十分ではないので、でこぼこが見て取れます。
また水管理は「植えたら雨まかせ」がまだまだ主流です。

進みつつある機械化

カンボジアでは畜力による耕作から、耕運機そしてトラクターへと、時代が変わりつつあります。
機械を買えない農民も多いため、多くは機械での作業を外注します。
1haの代掻きで80ドル程度のコストがかかります。

最近は田起こしの外注によって、水田も規模拡大の可能性が出てきました。
機械作業の外注は、業者側がまとめて大規模にやろうとするため、各農家ごとではなく地域単位で実施されることが多いです。
1週間は同じ地域で作業して、また別の地域に移るといったやり方をします。


適期・適地

カンボジアでは気候的に、年中稲作が可能です。
田植えの横で収穫している風景も珍しいものではありません。

年に何作できるかは、


  • 乾季に水が引き込めるか
  • どれくらいの期間が必要な種類の米か


によって変わります。

カンボジアの稲作に適した時期

水さえあれば年中栽培が可能ですが、収穫時期には見渡す限りの稲穂を刈り切る必要があります。
よって作業の都合上、大雨が降る時期に収穫がぶつからないよう昨付時期が決まっています。

IR種

東南アジアで主流の米の品種にIR種というものがあります。
フィリピンの国際稲研究所(IRRI)が開発し、その名を冠してIR種と呼ばれています。

水管理が雨任せになりがちな地域でも収穫を見込めるため、東南アジアやアフリカで広く普及しています。

この品種を使う地域では90日程度の生育期間が必要となりますので、前後の作業も含め年に3作するのが一般的です。

大雨を避けて6~7月に収穫する関係で、それに合わせて他の2作の時期を調整します。
だいたい7月、11月、2月くらいの収穫を目指すことが多いようです。

ジャスミンライス

また生育期間が120日間と長いジャスミンライスだと年2作になります。

だいたい7月と1月あたりに収穫します。

稲作に適した土地

カンボジアでは非常に広大な水田地帯をあちこちで見ることができます。
しかしどこでもいいというわけではなく、やはり水を確保できるかが適地の条件となります。
雨任せの水管理が多いため、雨季に水で埋まってしまうような圃場は非常に不利です。
丈の長いロングライスもあるのですが、近年はどんどん減っています。

水田地帯の条件

基本的には


  • 大きな面積の平地がある
  • 川や湖が近い


地域に水田が広がります。

カンボジアではメコン川流域やトンレサップ湖周辺が大稲作地帯となっています。

カンボジアの水田地帯

カンボジアの米どころとしては、生産量の大きさでプレイベン、品質ではバッタンバンが有名です。

バッタンバンなどカンボジアの西側の地域ではジャスミンライスや品質の良い高級米がよく作られています。

逆にプレイベンやコンポンチャムなど東側では、より簡単に収量を見込める品種を作る傾向があります。

プレイベン
8月、9月は大雨で田んぼが水に埋まる地域ですが、カンボジアで最大の収穫総量があります。

少し古いデータになりますが、2008年には全国の米生産量が約500万トンのところ、プレイベンだけで53万トン。実に1割以上を生産しています。

水で埋まる時期がある関係で年2作となっており、より簡単に確実に穫れる品種を選んで生産しているようです。

バッタンバン
プレイベンのような地域に比較して丘陵が多く、米だけでなくトウモロコシ等も作られています。
米の生産量はそれほどではありませんが反収は多いという特徴を持つ地域です。

品質が高く、昨付期間が長い高級品種が多く作られています。

・その他
コンポントムではトンレサップ湖側に水田地帯が広がります。
反収も比較的よく、高級米が作られています。

コンポンチャムもメコン川を挟んで広い平地があり、水田地帯となっています。

またクラチエから北方は丘陵地帯で、水田は難しい地域になります。

収益性

「これでも穫れる」という現状を改善することで収益性に期待が持てます。

米は世界に輸出されているので、事業として大きな取り組みが可能な品目です。

売価

市場に行くと通常のお米はキロ2,000リエル(50セント)から5,000リエル($1.25)くらいで売られています。
2018年現在、農家から中間業者に渡す段階では


  • 安い品種:750リエル
  • 高い品種:1,200リエル


程度の売価となっています。

なおジャスミンライスなど高級なお米ではもっと高価なものもあります。

またカンボジアで広く作られているIR種はカンボジア人の口には合わないらしく、カンボジアの市場で出回っているのはまた別の品種です。

IR種はベトナムへの輸出のために大量生産しているようです。

カンボジア人の米消費量

2014年のデータでは、カンボジア全体で930万トンの生産がなされ、米の自国消費は53%です。

現在私が監修している胡椒畑では、カンボジア人スタッフが12人で5日あたり10kgの米を消費しています。

0.8kg/人/日という消費量であり、国民全体では年間約500万トン程度の消費となります。

もしカンボジアのローカル消費にターゲットするなら、このうちのどれくらいのシェアをどう取っていくのか、は検討のポイントとなります。

また半分程度は輸出になることから、輸出も視野に入れる必要性が見えてきます。

実際タケオプレイベンといったカンボジア東側の地域では、ほとんどがベトナムに輸出されるようです。

主要コスト

稲作に必要なコストは例えば以下のようになります。


  • 地代:150~200ドル/ha/年、$80/1作など
  • 種籾代:1,000~2000リエル(25~50セント)/キロ
  • 機械作業の外注費:代掻きで80ドル/haなど
  • 人手作業の人足代:播種で$7.5/haなど
  • 水のパンプアップ(燃料費):1日やって$10程度


さらに除草剤、農薬、肥料などを使うのであればそのコストもかかります。

各種のコストは様々な条件によって変わってきます。
現地で実際に見て、現地を知る人に話を聞いて調査されることをおすすめします。

営農の規模

必要な収入とコストを比較して、水田でやりたい規模を試算してみてください。

これは大規模水田の収穫期直前の風景ですが、カンボジアには千ヘクタール規模の水田農家もいます。

収益化のポイント(課題)

現状での課題は、播種、除草、水管理、販売戦略など、全てに渡ります。

現状からは作業体系の整備と機械化で生産性が大きく向上することは明らかです。
逆に言えば参入するにはそれなりの資金と長期的な現場育成の取り組みが必要です。

この状況に対し投資し、回収していくプランを具体的にイメージしてみてください。

播種と除草

播種機の利用により収量増加も見込めますが、さらに株間が整然とすることで除草機が使用可能になります。

今のバラマキと株間の状況では合鴨農法も不可能だ、と言えば状況がわかるでしょうか。鴨が株間を通り抜けていけないような状況なわけです。

なお農道がまだ通っていない圃場も多いため、その状況で可能な機械導入を考える必要があります。

水管理の問題

田んぼの基盤整備は不十分で、水深のコントロールは難しく、さらに代掻きの技術が未熟なため場所による高低もあります。

よって同じ田んぼでも穫れるところと穫れないところがかなり出てきてしまいます。

また用水路が無いため、近くに引き込まれた水をパンプアップで田んぼに入れています。
燃料代がかかるため、水の入れ替えや温度を意識した水管理は為されません。

ため池や用水路を造成するくらいの投資ができれば、状況は劇的に変わります。

販売戦略の欠如

一部の先進的な農家を除いて、そのときの相場でとにかく売る、という以上のことはほぼ無いに等しい状態です。

収穫時期の6、7月は相場も安くなりますが、


  • 時期をずらそうにも倉庫が無い
  • マイクロファイナンスに返済が必要


等の理由で、小さな農家にはとにかくその場で全て売るという圧力がかかっています。

一方で農場の名前を冠したパッケージに入れられ、イオンモールで並んでいるような米もあります。売価をにらんで高級米の赤米を作ったりという試みも一部ではあります。

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