カンボジア農地の条件と価格

新興国の農地には様々な条件のものがあり、それにより価格も変わってきます。
カンボジアは日本の半分の面積でありながら農地比率は50%近いので、日本の数倍の農地があると思われます。
同時にインフラ整備が全国に行き届いていないため、本当に千差万別になるのです。

では新興国において農地はどのようなポイントで選んでいけばよいのでしょうか。
ここではカンボジア農地のパターンや価格など、農地選定に必要な情報をまとめます。

農地選定のポイント

場所によって条件がまったく違う以上、農地が自分のニーズに適うか見極めが必要です。

農業経営のためには土地が栽培に適しているかのみならず、機械利用や出荷に関わるアクセスの容易さも重要なポイントとなってきます。

季節による違いも激しく、栽培も出荷も、乾季と雨季の対応が必要となります。

何が作れるか

カンボジアは日本の半分ほどの国ですが、稲作はもちろん、果樹、ゴム、トウモロコシ、キャッサバ、ゴマや胡椒など、多様な作物が生産されています。
広い平地では水田が広がり、丘陵地帯でも果樹なら栽培できます。
またカンボジアのブランドとなっている胡椒ができる地帯は地価が高くなります。

経営上、作りたい作目が周辺で作られているか、作られていないならそれは何故なのか、調査するとよいと思います。

道路状況

道路に関しては


  • 大きな道路につながるか
  • 大きな道路までのアクセス時間(距離と地形)
  • 一度にどれくらい運べるか(道幅、地形)
  • 雨季にもアクセスできるか


等につきよく確認してください。

これらを総合して売り先まで運ぶ時間と量がどうなるのか検討してください。

インフラが未整備な新興国では農場までの道が未整備な場合が多々あります。
逆に有利なのは国道沿いや、主要道路につながる道がついている農場です。

また熱帯では雨季に道路が冠水することがあります。
常時道路が使えるかは農地選定上、重要なポイントになってきます。

乾季・雨季の対応

カンボジアもそうですが、東南アジアの農地には乾季と雨季の問題があります。
上記の道路冠水も問題ですが、農場自体にも季節による水の問題があります。


  • 乾季に水が供給できるか
  • 雨季に水没しないか


をよく確認してください。

カンボジアでは用水路が整備されてことが多いため、乾季の水の供給にはポンプアップの燃料代がかかります。

雨季は場所によっては完全に圃場が水没し、その季節の農家は漁師になります。
また毎年は水没しなくても、数年に1回は洪水になるような土地もあります。
収穫以前に洪水が来れば、もちろん作物は全滅です。

近隣に農家はいるか

道路の問題で大型機械が入れない農地では、作業の多くを手作業に頼ることになります。
またトウガラシなど小さな作物の収穫など、機械化できない作業に多くの人手が必要です。

人手とは、具体的には近隣の農家です。

しかし都市部に近くなるほど宅地化が進み、農地は残っていても農家がもういないという状況が発生します。

そのような地域ではワーカーの確保が難しくなりますので、十分な注意が必要です。
一方で消費地に近いという利点もあります。

カンボジア農地の価格帯

上述した栽培や出荷に関わる条件以外にも価格が変わる要因はあります。

たとえば都市部近くでは作物がよく育つかに関わらず、バブルでとても手の出せない価格になります。
また借り手の状況によっても価格は変わってきます。

結果として、農地による価格差は非常に大きなものとなります。

カンボジア農地の価格帯

私が聞く限りでは、カンボジアの農地の価格帯は$700~$15,000/haと非常に幅広いです。

まずその具体例を挙げたいと思います。

北部のジャングル(開墾が必要)

北部のジャングルなら、$700/haくらいからです。

ジャングルですのでこれに


  • 開墾代
  • 主要道路につながる道の整備代


がかかってきます。

そうしたコストも入れて概ね$2,000/haくらいになるでしょうか。

胡椒産地の胡椒畑

一方でカンボジアのブランドである胡椒畑を、有名産地で取得するとなると非常に高くなります。
たとえば以下の条件の農地を$15,000/haで、と言われたことがあります。


  • 南部の胡椒産地ケップ特別市の胡椒栽培の中心地域
  • 開墾済みですぐに胡椒を植えられる土地


ただし、その農場は5年前から誰も買い手がついていないので、実際にはもう少し安いのだと思われます。

水田地帯

水田はまた複雑な要素があるので、一言では言えません。

国道沿いなら宅地並み、雨期に沈む田んぼなら安いとだけ書いておきます。
そのくらい地域差があります。

その他

その他、


  • 水田はできないけれど、果樹なら栽培できる丘陵地帯:$2,000~3,000/ha
  • 胡椒ができる地帯:プラス$1,000
  • 灌木が生えている程度:マイナス$1,000


といったところでしょうか。

もちろん開墾や、道路建設の費用が別途かかります。

資産としての農地

カンボジアの土地はいまだに不動産バブルらしく、都市近郊ではとても農地を買うことはできません。

カンボジアには日本のような農地法がないので、そうした農地は、投機目的で買われた田んぼを農家が採算が取れるギリギリの価格で借りているのです。

そんな状況なので、湖を埋め立てて宅地化がどんどん進んでいます。
そのせいで、雨期にスコールなどがあると町中に水があふれなかなかひかないとも言われています。
つまり、農地の価格という日本的概念ではなく、資産価値としての価格がついている場合が多いのです。

買うのか長期で借りるのかもにらみつつ、最終的にはご自身で調査しなくては分からないのが実態です。

借り手による価格の違い

新興国特有の現象として、露骨な二重価格があります。
現地人と外国人で、売り値が全然違ってくるのです。

バイタクやトゥクトゥクでは大した額ではありませんが、土地となると非常に大きな差となってきます。

以前、貸してくれるというので、オーナーに確認してもらったら、一年で$150/haの田んぼが月$150と言われたことがあります。

また店舗の賃貸でも多いのですが、農地も儲かっていると思われると契約更新時に賃貸料が跳ね上がることがあります。
なお大きな農地の賃貸期間は20年くらいからで、短期では貸してくれません。

どこで始める?

目指す営農スタイルにより取得すべき農地の条件は変わります。

ここでは具体例を考えてみたいと思います。

安い農地で一次加工

とにかく安さを求めるのであれば、地方の丘陵地帯には未開発の地域が残されています。
もちろん開墾が必要です。
しかしインフラ整備が遅れているカンボジアでは、農場を拓いてもそこまでの道がありません。また幹線道路も遠くなります。

よって生鮮野菜などは消費地に届ける輸送手段がありません。
安い土地で農業を始めたいのでしたら、最低でも一次加工をしなくては農場は立ち行かないでしょう。

逆に言えば、カンボジアでは道路さえあれば少なくとも果樹園があります。

日本人には難しいかもしれませんが、電気などのインフラが全くない地域でも農家はいるのです。そしてそこまで果物を買いに行く業者もいます。

カンボジアも徐々に開発は進んでいます。
機械化が進み道路が整備され、条件が良くなる頃には空き地はなくなるのかもしれません。

それまでに始めれば、不利地の欠点を加工で補い、土地の安さを利用する農業は現実的に可能です。

都市部近くで観光農園

先に書いた通り、都市部近くでは地価が高すぎる、人手となる農家がいないという問題があります。

そこで1つ考えられるのは、地方都市近くの観光農園という可能性です。
コネクションがあれば都市部近くに残った農地を借りることは可能です。
例えばプノンペンからバスで20分のタクマウにも放棄された農地は点在しています。

人手の問題で大量生産は難しいきらいはありますが、観光客に収穫体験などで自分で作業してもらう方法はありそうです。

またプノンペンから3時間の胡椒産地カンポットにはフランス植民地時代の避暑地であったボコー山があります。

内戦時に廃墟となったボコー山もホテルが再建されたりと、リゾートとして再開発が進んでいます。
高級レストランにオーガニック野菜を卸したり、農園自体を観光資源にするという可能性がありそうです。

>> カンボジア、観光農場の可能性

以上、ここでは2例を挙げましたが、営農スタイルと農地の兼ね合いは複雑です。
最終的には自ら情報を収集し、個別に検討していただくしかありません。

まずは現地に赴いて農家の父さんの話を聞いたり、小さく始めてみて生きた知見を得ることから初めてはいかがでしょうか。

また農地を含め、農業に関する情報収集については以下のエントリをご覧ください。

>> 新興国の農業情報収集について
>> カンボジア農業の人脈と情報源

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