まず雇用をもたらすのは端的な地域貢献です。
さらにたくさんの人びとが収入を得られることは景気や政府の税収に回り回ってきます。
子どもに教育を与えられること、公教育が改善することは、将来を考えれば見逃せない効果です。
そのように社会に良い影響を与えることで、ビジネスの土壌もまた豊かになってきます。
カンボジアは国際支援も盛んですが、そこにビジネスも加わることで状況をより効果的に改善することもできると思います。
地域も社会もビジネスも「三方よし」で噛み合って回ってゆく、そのための私なりの構想を、ここではお話したいと思います。
農村支援の理想と現実
国際支援でカンボジアに来られる方は数多いです。過去に無数のNGO等が支援に訪れ、多大な貢献をされています。
しかしまだまだ多くの問題が解決されたとは言えないのが現実です。
その原因は、支援が足りないというよりも、そのアプローチではないかと考えています。
社会構造と農民の実感
中間業者の搾取、最大の生産物である米の国際価格の変動に晒され、農家は常に価格が安定しないというリスクに晒されています。米はほとんどの農家が作っている主生産物であり、生産・流通に国が制度的に手当てすれば大きな効果が見込めるのですが、政治が農業に大きな関心を払っているようには思えません。
そうした構造の中、努力が報われないことを農家は学んでしまっています。
一方で、農村で暮らすなら、そこそこ生きていけるのも事実です。
この状況の中で、外部が旗を振ってもなかなかやる気になれないのは理解できます。
実際、農業の現場では雇い入れたスタッフがなかなか新しいやり方を覚えないということは常に起こっています。
NGOが支援し育成した農業技術者が、地元で思うように技術を普及できず焦っているという話もよく聞きます。
支援の限界
いかに合理的であっても、意味のわからないことは農家はやれません。そもそも意味を理解して新しい技術を取り込もうという姿勢がありません。
よっていくら指示しても、目を離せば従来どおりのやり方に戻ってしまいます。
真面目な人はたくさんいますが、言われたことをただ真面目にやるだけで、その作業の意味を理解した動きをする人は非常に少ないと思います。
これでは外国資本が必要とする効率は達成できません。
彼ら自身の収入も上向きません。
構造を変えないまま、個々の農家に努力を期待する支援には限界があります。
もう一枚、何かが足りないのです。
支援のシステムとしての農業ビジネス
上記のような構造の中、現状できることは民間での様々な改善の積み上げしかなさそうです。では何をすればいいのか。
ビジネスができるのは言わば正攻法としか言えないものです。
個々の農家が技術向上するのではなく、関連する全ての労力・リソースをうまく組み上げて結果が出やすいシステムを作るということ。
その中で彼ら自身の自立のあり方を作り上げてもらうこと。
必要なのは、安い労働力を雇い入れるといったことではなく、
早期に着実に成功体験を積み重ねられるシステム
を構築することです。
成功体験が人を育て、育った人が、様々な支援が目指してきた改善を自ら実現していきます。
カンボジア人とのコラボレーション
詳しくは以下にまとめていますが、>> カンボジア資本と日本のマネジメント、連携のシステム
このシステムは基本的に
- カンボジアの農業系企業のリソースや、現地農家の技術を積極的に取り込み
- スピーディに生産・販売体制を整える
ものになります。
日本式を現場に押し付けるのではなく、現地農家のやり方を最大限に活かします。
また現地企業から土地を借り受け、日本人が設備投資をし、生産管理を行います。
日本の方式で管理することで品質が確保され、収量とブランドが強化され、さらにカンボジア企業の既存販路を使えるので、早期に売上増を見込めます。
カンボジア企業のリソース、優れた農家の技術、日本の資金と品質管理のノウハウを結びつけ、生産から販売まで一貫したシステムを構築するのです。
通常のビジネス・支援との違い
上記のシステムは- 外国企業が土地を押さえ、現地人に外から持ち込んだ技術を教え込む
- 現地人は安い労働力としてしか期待していない
といった通常の農業ビジネスとはまったく違います。
また生産から販売までの一通の「システム」であり、
- 個々の農家に技術を教える
- 個々人に眼の前をしのぐ何かを与える
ような支援とも違います。
成功体験の環境として
このシステムは、現場を支えるカンボジア農家から見て、- 自分たちの培った技術がベースなので理解しやすい
- きちんと投資と生産管理が為されているので、品質や収量が向上する
- カンボジア企業だけ、外国企業だけでやるより販路確保やブランディングが容易なため、着実に売れる
ものです。
ビジネスですので、何かを与えられるのではなく、自分たちの努力で対価を得るのは前提です。
このシステムに参与することによって、自分たちの技術向上と結果が、生産としても収入としても、彼らの中できちんと繋がるようになります。
農家が現在取り囲まれた構造と逆の、努力と結果が結びつく成功体験を経験できる環境を構築し、成長する意欲を持ってもらうのです。
その中で、能力がありながらくすぶっていた人たちが頭角を現します。
ビジネスが好回転を始めるのです。
農業ができる「支援」のインパクト
今のカンボジアに足りないのは作業者ではなく、作業の意味を考え、理解し、仕切る能力を持っている人です。それがカンボジアの農業を労多く儲からない状態に留め置いています。
それは単に無償で技術指導すれば改善するというものではなく、努力と結果のつながりが見えやすい実践の場づくりが必要なのです。
そこからビジネスの成功、地域貢献、民間から社会を変えていく力が生まれます。
農業ビジネスは新興国において最大多数の人びとを育み、社会の発展へとつなげる場なのです。
様々な地域で
上述のようなシステムを構築できれば、数ヘクタールから始めて数年で10倍程度の規模にはなると思います。
その規模の農業ビジネスができた時点で、地域への大きな貢献です。
しかしそれはさらに、全国的なモデルケースになり得ます。
全国で、数年で農業ビジネスが10倍規模になるとしたら、それは大きな社会的インパクトです。
ここに書いたのと同じではありませんが、生産から販路までつながったシステムは、地域によっては一部NGOなどが何らかの形で成功させています。
しかしそれを全国に広げるには、やはりいち組織ではパワー不足です。
逆に言えば参入する余地がいくらでもあるということです。
最大多数の人口を擁する農家の生活が潤えば自ずと消費経済も活性化し、連なる物流や農業関連の資材も売れるようになるからです。
そうして社会に回るお金が増えれば、税収も上がります。その規模の農業ビジネスができた時点で、地域への大きな貢献です。
しかしそれはさらに、全国的なモデルケースになり得ます。
全国で、数年で農業ビジネスが10倍規模になるとしたら、それは大きな社会的インパクトです。
ここに書いたのと同じではありませんが、生産から販路までつながったシステムは、地域によっては一部NGOなどが何らかの形で成功させています。
しかしそれを全国に広げるには、やはりいち組織ではパワー不足です。
逆に言えば参入する余地がいくらでもあるということです。
地域から社会へ
多くの主体が参入し、様々な地域でその場に合ったシステムを構築すれば、社会もまた変わります。最大多数の人口を擁する農家の生活が潤えば自ずと消費経済も活性化し、連なる物流や農業関連の資材も売れるようになるからです。
農業から多くの税収が上がるとなれば、政策の優先順位も変わってくるのではないでしょうか。
また地方の公教育に投入される予算も増え、そのレベルも上がるかもしれません。
良い教育を受けた人材はいずれ社会を支えてくれます。
将来は今ほど社員教育に困らずにすむかもしれません。
農業国における農業ビジネスのインパクトはそれほどのものだし、そのように健全に経済が回る中でキーとなるなら、十分な利益を持続的に出し続けることができるでしょう。
人に寄り添う中で
農家の取り囲まれた厳しい構造的条件のもとでも、そこから見える風景を変えることは可能です。それはきれいな設備を整えるということではありません。
資金があり最新鋭の機材を揃えても、現場が回らず撤退した企業は数知れません。
現場を支える人びとに、思い込みを打破するポジティブな経験をコツコツと得てもらうということ。
その中で「自分たちはやれる」と感じてもらうこと。
システムがそれを継続的に可能とする環境であれば、生産性は必ず上がっていきます。
さらにリーダーの資質を持つ人を発見できれば、一気に状況は改善します。現在の社会的構造と逆の経験を得られるシステムが成功し普及していくとき、それは同時にカンボジア農業が取り囲まれた構造自体もまた好転していく過程となり得ます。
結局、農業で生きる大きな人口を巻き込むムーブメントは、そのまま社会全体の変化です。
それは上からの指示や支援ではなく、肩を並べ「人に寄り添う」ことから始まるのだと思います。







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