機械化の必要性とその阻害要因

新興国も農業の近代化が進み、農業機械を駆使した効率的な圃場管理が普及しています。
しかしカンボジアはその中で動きに取り残されているところがあります。

カンボジアも近代化が進む中、機械農業の普及は喫緊の課題です。
実際、機械化による効率向上の余地は非常に大きく、先行すれば大きな競争力となります。
ではなぜカンボジアでは遅々として機械化が進まないのでしょうか。

ここではカンボジアにおける機械化の必要性と、それが進まない理由についてまとめます。

新興国において農業機械を導入する上でどのようなハードルがあるか、把握していただければと思います。


カンボジアにおける機械化の必要性

効率化の圧力はカンボジアの国外にも国内にもあります。

カンボジア農業は先に機械化を進めた近隣国農業との競争に晒されています。
国内では経済発展につれ様々なコストが上がっており、またこれからも上がり続けます。

効率化は是が非でも取り組まねばならないビジネス課題なのです。

隣国産業の脅威

カンボジアでは近代化の進むタイ、ベトナムと比較してインフラ面、技術面で遅れを取っています。
生産も輸送も効率が上がらないため、農業国でありながら隣国から国産より安い農産物が大量に入ってきています。

隣国の機械農業は、カンボジア農業にとって眼の前に迫る脅威なのです。

人件費の割合

カンボジア農業において、経費に占める人件費は決して安くありません。

単価は安いのですが、大勢使うので結局かなりのコストがかかっています。
作業効率が悪いこともコストを押し上げる大きな要因です。
後述しますが、外部に請負ってもらうと作業の品質や効率はさらに悪くなります。

大量の人員が必要なことと作業効率の問題により、人件費は経営に重くのしかかります。

賃金・物価の高騰

またこれから新興国では人件費が上がることはあっても下がることはありません。

カンボジアも経済発展する中で、最低賃金が段階的に上がっていきます。

また組み立て、縫製工場の進出も続いており、農家人口が減少することは明らかです。

日本の高度成長期の中卒者が「金の卵」扱いされた時代とよく似た状態が続くと思われ、これもまた相対的な人手不足を通じて賃金を押し上げる要因となります。

よって人件費は能力に関係なく上がり続けます。

同時に物価も上がっていきます。
土地や資材を最大限効率的に使うことなしに農業経営は立ちゆきません。

あらゆるコストが高騰する未来に向け、その道を地道に作っておくことが重要です。

機械化が進まない理由

カンボジアでは自給自足の延長上の小農がたくさんいます。

その中で醸成された文化は、近代的な効率化と相容れないところも多々あり、機械農業が普及しない大きな要因となっています。

また政策的な後押しも弱いのが実情です。

現場の人がやりたがらない

まず農場の作業員が機械の性能は認めても慣れた作業方法をやめようとしない、という問題があります。

植民地時代も含め頑張っても成果を認められない作業環境、価格を自分では決められないという現実に、農家は長年さらされています。

結局、頑張っていいものを作っても収入には反映されない状況で、農家が取れる対策は


  • お金を掛けない
  • 先行投資をしない
  • リスクのある挑戦はしない


といったものになります。
このマインドは機械作業を含め、新しいやり方を導入する上で大きな障害となります。

農家が取り囲まれた状況とその影響については以下にもまとめていますので、興味があればご覧ください。

>> カンボジア資本と日本のマネジメント、連携のシステム

外注作業とその報酬体系

カンボジアでは小農が農業機械を買う余裕はないため、機械作業は請負業者に外注することが多いです。
日本と比べると、業者の作業はもう少しの丁寧さと慎重さがなく、後の工程に支障が出ます。
しかし業者のオペレーターにこうしてくれと指示をしても、ほとんど聞き入れてはもらえません。

やった面積ベースの報酬体系が1つの原因で、きれいに仕上げるよりも早く作業して多くの面積を作業しないとお金にならないのです。

結局、後で側溝が崩れたり、生産量に影響したり、景観もなんとなく雑に見えてきます。

近隣農家に作業を頼む場合も同じで、基本的に報酬は品質ではなく、面積、本数、時間など作業量ベースです。
自分の農場ではもう少しちゃんとするのですが、他の農場のワーカーになったとたんに作業が雑になります。

現地に合った機械が無い

カンボジアの農村地帯はインフラ整備が追いついていないところも多く、道路の問題が常にあります。

そういうところは人手で作業するので、畝間やあぜ道があればそれでいいのですが、大型機械は道路がなければ入れません。
またタイ製の播種機などは精度が悪く、非常に重たかったりします。カルチなどの除草機は見たことがありません。

道路整備はいち企業の仕事ではないので、まずカンボジアに適した小型軽量の作業機製造も視野に入れるべきと思われます。

修理技術の育成が必要

カンボジアでは修理技術のレベルも高くはありません。

また時間ベースの報酬体系なので、自分で間違って時間がかかっても、その分の時間も含め請求されます。
機械普及のためには技術移転も同時進行する必要があります。

カンボジアの農家は「壊れたら手でやればいい」「壊れるから手でいい」という意識が相当強いので、適性のある人がいるか、見つけられるかも問題です。

政策上の問題

最大人口を抱える農業を効率化するのは国としても大きな課題であるはずです。
カンボジアにももちろんその担当の役所があります。

しかし農業関係の役所には研究費とかの予算はあるものの、普及する予算がないそうです。
ですので、良い機械が出来ても普及しない。

それどころか、できた機械を販売していると聞いたことがあります。
もちろん買うのは偉い方の農場関係者です。

農業振興政策が遅々として進まない理由の1つです。

眠っている利益

農家の意識、報酬の習慣、技術、政策とあらゆるところに問題を抱えているカンボジアですが、逆に言えばそれは機械化による効果が非常に高いということです。

機械化推進のためには、先に挙げた「機械化が進まない理由」がそのまま対策のポイントになります。


  • 現場の人がやりたがらない → やる気を持ってもらう仕組みづくり
  • 現地に合った機械が無い → 実情に合った機械の導入・開発
  • 修理技術の育成が必要 → 技術者の育成


これらを一つ一つ対策するのが、新興国の農業経営です。
対策に成功すれば、そこには大きな利益が眠っています。

具体的な方策については別途まとめていますので、合わせてご覧いただければと思います。

>> 機械化推進でビジネスチャンスをつかむ


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