機械化推進でビジネスチャンスをつかむ

以下のエントリでカンボジア農業における機械化の必要性と、機械化が進まない要因につき整理しました。

>> 機械化の必要性とその阻害要因

その要因を列挙すると、

  1. 現場のモチベーション
  2. 作業の報酬体系の問題
  3. 現地に合った機械が無いこと
  4. 修理技術の育成が必要
  5. 政策の問題

の5点になります。

これらの課題を解決できるのであれば、それは大きな競争優位につながります。
誰もが抱える課題はビジネスチャンスなのです。

ここでは具体的にこれらの課題にどう対策し、チャンスをものにしていくかにつき、検討してみたいと思います。


機械化推進のために

冒頭挙げた機械化が進まない理由5点が、そのまま対策のポイントになります。

それぞれの方策についてまとめます。

やる気を持ってもらう

変わりたがらない現場には、変化を受け入れられるよう、人にやる気になってもらう仕組みが必要です。

機械化を進める上では、簡単な機械を使って小さなことから始め、成果を見せるのが良いと思われます。
また肥料を作ってみるなど機械化以外の部分でも、同じことをやるといいと思います。
やり方を変えると成果が出るという経験を、仕事の様々なところに埋めこんでおくのです。

また組織を超えた大きなパートナーシップの仕組みについても検討する価値があります。
構想を示していますので、以下を参照いただければと思います。

>> カンボジア資本と日本のマネジメント、連携のシステム

報酬体系の見直し

量ではなく、成果と報酬をリンクさせることも良い試みです。

ワーカーを使うときに、請負や出来高払いにする方法を考えるとよいと思われます。

また外注の機械作業は報酬が面積ベースですので、作業品質を上げるインセンティブがありません。
指示しても言うとおりにはしてくれません。

しかし請負業者ではなく、自社の作業員であれば実際にやって見せると指示に従ってくれることが多いです。

固定費が増えるリスクはありますが、有望そうな人であれば自社で雇入れ、自分ごととしてやってもらうのは1つの選択肢です。

現地の実情に合った機械導入

カンボジアでは道路が付いていない圃場がたくさんあります。
広大な田んぼでも大型のコンバインなどは入れないので、その実情に応じた軽量な機械が必要です。

日本の常識を捨て、現地に合った機械を導入あるいは開発し、その中でオペレーターの技術を育てる必要があります。
また現場のニーズに合わせた機械を開発できれば、買いたい人はたくさんいます。
それは農機ビジネスのチャンスなのです。

新興国の実情に適合した農機開発については、以下にまとめています。

>> 小型軽量農機の開発


修理技術者の育成

機械は壊れるものです。
導入するだけでなく、日本の修理技術の移転も同時に進める必要があります。

しかしカンボジアの農家は「機械が壊れたら手作業でやればいい」という意識があります。
したがって機械修理のレベルもまた上がりにくいものがあります。
また時間ベースで成果や品質が関係ない報酬上の習慣も、修理技術のレベルアップを阻害している可能性があります。

既に書いた、やる気を上げる仕組み、報酬体系の見直しなどが対策となるでしょう。

政策へのインパクト

政策上の問題にビジネスが直接できることはありませんが、現場の生きた情報と要望を伝えることはできます。

以下のエントリに書きましたが、最大人口を抱える農業の効率化は、社会に大きなインパクトを与えます。

>> 農業が創り出す新興国支援
"そうして社会に回るお金が増えれば、税収も上がります。
農業から多くの税収が上がるとなれば、政策の優先順位も変わってくるのではないでしょうか。
また地方の公教育に投入される予算も増え、そのレベルも上がるかもしれません。
良い教育を受けた人材はいずれ社会を支えてくれます。
将来は今ほど社員教育に困らずにすむかもしれません。"

農業ビジネスが成果を出せれば、政策的対応のスピードも上がるかもしれません。

機械化によるビジネスチャンス

農家の意識から政策に至るまで、あらゆるところに問題を抱えているカンボジアですが、逆に言えばそれは機械化による効果が非常に高いということです。

作物生産にも、機械開発にもビジネスチャンスがあります。

効率向上の余地

東南アジアの大農場ではゴム園や胡椒、果物などを数千から数万ヘクタールで、安い労働力をふんだんにつぎ込んで経営しています。

これらの作目は機械化の難しい部門でもあり、赤道をはさむ地域の主力産業でもあります。

一方で東南アジアは大豆やトウモロコシ、キャッサバなど畑作に類する作物も当然栽培できる地帯です。
今後一層不足するであろう穀物などの生産もこの地域で担う時代は必ず来ます。

例えばある場所で試験栽培した胡麻は世界的に不足しています。
かなり劣悪な条件下でも育つのですが、面積当たりの収穫量が少ないので数十ヘクタールで栽培しないと採算は取れません。
ビジネスチャンスがあり、機械化の効果が高い作物であるということです。
機械化、輸送手段の確保ができれば北海道並みの採算が取れます。

様々なところに効率化の余地はたっぷり残されており、そこには大きな利益が眠っています。

機械関連のビジネス

カンボジアのトラクターは日本にはすでになくなったディスクプラウとロータリーハロー以外に使っているのをほとんど見かけません。
これからのカンボジアにおける農業はトラクターの普及はもちろんのこと、作業機の多様化がトラクター普及のキーワードになると思います。

私の経験では馬力を考えなければ、十数種類の作業機は必要不可欠です。
これらを馬力や作業内容に応じて使い分けることによりトラクターのコストを吸収するのです。

プラウ、ロータリ作業、畝立、播種、除草、収穫機械など、新興国の現場に合致した農機には大きな需要があります。

農業機械販売業者やレンタル業者のビジネスチャンスはたくさんあります。

また多様な農機利用が普及することは農機具の価格安定にもつながります。

レベルは高くありませんが中古品の修理技術を持つ人の多いカンボジアでは、古くとも良い状態なら売れる、いい形の農機市場が形成されると思います。

機械化を推進しよう

現状山積する問題を先行して解決すれば、大きな競争優位となるはずです。

また農業や関連ビジネスが大きな成果を出せれば、為政者が農政に積極的に取り組む動機にもなります。

ビジネスと政策がうまく噛み合えば、埋まっている利益をさらに効率的に掘り起こせるようになると思います。

ビジネスとしても社会としても、カンボジア農業の持つ大きな伸びしろを具現化する上で機械化はとても重要な手段なのです。

結局は実情を直視し、それに丁寧に対応していくということの積み重ねです。
課題のそばにはビジネスチャンスが眠っているのです。

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